2025年5月29日 11時00分 株式会社divx
2021年に創業しAIを活用したサービス開発を通じて企業や公共機関のDX推進を支援する株式会社divx(本社:東京都港区、代表取締役社長:物部 英嗣、以下「当社」 )は、2025年7月より、生成AIの業務活用とその成果を人事評価に反映する新制度を正式導入します。
本制度は、エンジニア職に限らず、デザイナーやバックオフィスなど全ての従業員を対象とし、「AIを使っているか」ではなく「AIを使って成果を生み出したか」を重視した組織運営へ移行します。
当社は2023年3月にAIを利用した開発への完全シフトを宣言(※1)し、ChatGPTベースの法人向けAI環境「DIVX GAI(※2)」やGitHub Copilotをはじめとする生成AIツールを全社的に導入・活用することで、さまざまな業務プロセスを大幅に効率化させてきました。
直近の社員アンケートでは、AI導入によって平均30%以上の業務時間短縮を実感しているとの声が多数あり、中には「50%以上短縮された」「AIなしでは業務遂行が考えられない」といった回答も寄せられています。
実際の活用例としては、コーディングやテストコード作成、仕様書・メールなどのドキュメント作成、翻訳・要約、顧客提案のためのアイデア創出やリサーチ業務など、多岐にわたります。
一方で、AI技術の急速な進化と社会への浸透が進む中、当社は次なるフェーズとして、「AIを使って効率化する」段階から「AIと協働・共創し、人間だけでは到達できなかった成果を生み出す」段階へと進む必要があると考えています。
これまでAI活用は主にエンジニア職で先行していましたが、今後はデザイナーやバックオフィスなど全職種への展開が重要な課題です。
そこで、職種を問わず、生成AI活用を前提とした働き方を浸透させ、社員全員が“成果を生み出す力”を高められる組織を目指し、今回の評価制度刷新を決定しました。
※1:2023年3月30日発表「株式会社divx、AIを利用した開発への完全シフトを宣言、業界をリードするクリエイティブカンパニーを目指す」のプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000099905.html
※2:法人向けAI環境「DIVX GAI」の詳細はこちらをご覧ください
https://www.divx.co.jp/lp/divx-gai
2025年7月から導入する新制度では、「生成AIを活用したこと」自体ではなく、「どのような成果を生み出したか」や「チームや組織にどのような影響を与えたか」といった定性的・定量的な結果を評価軸に加えます。対象は全社員(エンジニア、デザイナー、バックオフィスなど)です。
個人評価に「AIの活用力・影響力」を追加し、AIを用いた成果や周囲への影響を評価対象とします。そしてチーム単位での評価に導入を予定している「生成AI活用スコア」により、活用状況や改善の質を可視化します。さらに、AIを使わなかった業務については、その理由を説明する責任を明確に求めることで、制度の実効性と運用の透明性を高めます。
本制度の導入には、次の3つの目的があります。
1)少人数でも高いパフォーマンスを発揮できる組織づくり
AIとの協働により、判断や作業の一部を標準化・高速化できるようになりました。これにより、スリムな体制でも生産性の高い組織運営が可能になります。また、多様な働き方やリソースの最適配分にもつながります。
2)属人化の解消とナレッジの共有促進
AIの活用を通じて、業務のノウハウを言語化・可視化し、チーム内外での共有を進めます。その結果、誰が担当しても同様の成果が出せるようになり、業務品質の安定と人材育成の加速が期待できます。
3)社員一人ひとりの価値と成長を引き出す仕組み
生成AIの活用によって、学習や成果創出までのプロセスが圧縮され、従来よりもはるかに短時間で実力を発揮できるようになっています。社員からは「業務の初期フェーズを驚くほどのスピードで乗り越えられるようになった」という実感が多数寄せられています。今回の新制度は、そうした成長速度の加速を前提に設計されており、年次や経験に関係なく、早期の成果を正当に評価する環境を実現します。
私たちはこれまで、未経験からエンジニアを育てるという、IT業界が避けがちな部分に真正面から取り組んできました。
しかしながら今、生成AIによってエンジニアの定義が揺れています。生成AIは、業界構造そのものを変えてしまうほどのインパクトがありますが、適切に活用すれば、未経験者ですら短期間で成果を出せることも、すでに私たちの現場で実証されてきています。
つまり、時間と経験を積み上げる前提で成り立っていた、これまでのIT業界の人材モデルは、制度的にも経済的にも限界を迎えるということです。人月ビジネスは形骸化し、原価リスクの増大が、これから業界を苦しめていくでしょう。
私たちは、未来に確実に到来するこの構造変化に備え、会社を変革し続けています。そして今回、評価制度にまで踏み込むことになりました。生成AIを活用してきっちり成果を出すか、使えないならその理由を合理的に説明するかの二択です。つまり私たちは、生成AIを用いない働き方を明確に否定します。
多くの企業が未だに生成AIをどう使うかで止まっているなか、私たちは、どう常態化させ、生産性と品質を向上させるかまで制度に組み込みます。これは、ただの社内改革ではありません。再現可能性のある制度設計として、業界が避けてきた構造的課題に先に手をつけたということです。
DIVXは、その強制進化の設計図を自社で先行実装しながら、制度の運用と改善も含めて順次展開を進めています。他社への導入支援や制度設計の相談にも、段階的に対応してまいります。