
毎日15分かかっていた日報を1分に短縮した、VSCodeとAIによる日報自動化を紹介します
はじめに
こんにちは、DIVX R&Dエンジニア兼広報室室長のyasunaです。
突然ですが日々の業務の中で、みなさんは日報の作成にどれくらいの時間をかけているでしょうか。
日々の進捗や課題を共有するために日報が重要な役割を果たしていますが、毎日となると少しだけ手間がかかるのも事実です。
特に一日の終わりには、Slackの様々なチャンネルに散らばった自分の発言やメンションを遡って、「今日、自分は何をしたんだっけ?」と記憶を辿る作業が発生しがちです。この定型業務をどうにか効率化できないかと考え、AIの力を借りてみることにしました。
この記事では、VSCodeとGitHub Copilotを使って、日報作成を劇的に効率化したプロセスと考え方を紹介します。
この記事を読んで分かること
VSCode上でGitHub Copilotを活用し、Slackの活動ログから日報を自動生成する具体的な方法が分かります。
日々の定型業務をAIで効率化する、はじめの一歩として参考にしていただけると幸いです。
背景
弊社では、日報に定量的な報告と定性的な報告の両方を含めることが求められています。
具体的には、「どのタスクに何時間かけたか」といった数値データと、「業務を通じて何に気づいたか、どんな課題があったか」といった内省的な記述です。
このフォーマット自体は業務の透明性を高める上で非常に有効なのですが、作成する側としては、一日の活動を思い出し、それを指定された形式に落とし込む作業が毎日の負担になっていました。
特に、Slackでのやり取りを振り返る作業が思いのほか時間を取られる点で、ここに改善の余地があると感じました。
AIを使ってこのプロセスを自動化することで、日報作成の時間を短縮し、より本質的な業務の振り返りに集中できるのではと考えたのが、今回の取り組みのきっかけです。
試したこと
日報の自動化は、大きく分けて「情報の収集」と「AIによる整形」の2つのステップで実現しました。
まず、情報の収集です。一日の活動記録はほとんどSlackに残っているため、Slackの検索機能を使って自分宛てと自分発信のメンション(from:@名前
など)を検索し、その日の活動内容をテキストとしてコピーします。そして、その内容をVSCodeで1017.md
のように日付を名前にしたMarkdownファイルに貼り付けて保存します。この時点では、ただ時系列に情報が並んでいるだけの生データです。
次に、AIによる整形の準備です。日報のフォーマットをAIに理解させるため、daily.md
という名前のプロンプトファイルを作成しました。
このファイルには、会社で定められている日報のフォーマットと、定量的・定性的な報告とは何か、といった説明をあらかじめ記述しておきます。
AIが毎回同じ品質で日報を生成できるよう、テンプレートとして機能させることが目的です。
# 日報生成プロンプト
以下のフォーマットに従い、参照する活動ログファイルから日報を作成してください。
◎フォーマット
・前日の報告(定量)
・前日の報告(定性)
・前日の残務(完了予定だったのに完了しなかったもの)
・本日の予定(定量)(可能な限り時系列)
・終業予定時間
・今抱えている問題の共有
・前日のAIによる業務改善または研究開発(この項目を記入した場合ひとことの省略が可能)
・ひとこと(Icebreak)
# 各項目の説明
## 定量的な報告
数値や測定可能なデータに基づく情報を中心に報告します。
例:
- プロジェクトAに5時間、ミーティングに2時間
- KPIの達成度合い
## 定性的な報告
数値に表れない情報や、業務に対する個人的な洞察、意見、感想を中心に報告します。
例:
- 新しいシステムが使いにくいと感じた
- プロジェクトBの進捗が遅れている理由
準備としてはたったこれだけです。
日報を作成する際は、VSCodeのAIアシスタント(私はGitHub CopilotのGemini 2.5 Proを使っています)を起動し、
先ほど作成した10-17.md
(活動ログ)とdaily.md
(プロンプト)の2つのファイルを参照させます。
そして、チャットに「go」とだけ入力します。

すると、AIが2つのファイルとさらに前日の日報をコンテキストとして読み込み、daily.md
の指示に従って1017.md
の内容を解析・再構成し、
フォーマットに沿った日報の下書きを数秒で生成してくれました。
考察
この仕組みを導入した結果、これまで毎日15分ほどかかっていた日報作成が、SlackからログをコピーしてAIに指示を出すまでの約1分で完了するようになりました。これは単なる時間短縮以上の効果があったと感じています。
一番大きな変化は、日報作成に対する心理的なハードルが劇的に下がったことです。
「日報を書かなければ」という思考から解放され、AIが生成した下書きを確認・修正するだけの簡単なタスクに変わりました。
これにより、面倒だった作業が、むしろ一日の活動を客観的に振り返るための良いきっかけになったのです。
AIに一次的な情報整理を任せることで、人間はより高度な思考、つまり「その活動から何を学び、次にどう活かすか」という定性的な部分に集中できるようになりました。
まとめ
今回は、VSCodeとAIアシスタントを用いて日々の定型業務である日報作成を自動化した話を紹介しました。
Slackのログを元に、あらかじめ用意したプロンプトを読み込ませるだけで、驚くほど簡単に、そして素早く日報の下書きが完成しました。皆さんの業務の中にも、AIの力を借りて効率化できる定型作業が隠れているかもしれませんね。
この記事が、その一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。