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AIを「学習」と「チーム貢献」のエンジンにする:AIで実装速度1.5倍・レビュー工数半減を実現した方法

はじめに

こんにちは、divxエンジニアの幡江です。 私はIT分野外から株式会社divxに入社し、開発キャリアをスタートさせました。キャリア初期の課題は、技術知識の急速な習得と、チームの開発スピードへの適合でした。

当社が推進するAI活用戦略、特に「AIを積極的に活用する社員を評価する」という文化を逆手に取り、私はAIを単なるコード生成ツールではなく、個人の成長とチームへの貢献を加速させる戦略的なツールとして位置づけました。その結果、私の実装速度は約1.5倍に向上し、チームのレビュー工数などのボトルネックを最大半減させることに成功しました。

本記事では、生成AIを「個人の学習パートナー」、「チームの推進役」として戦略的に使い分ける手法を論理的に解説します。この知見は、AI活用で開発効率を上げたいエンジニアの方々にとって、実践的な指針となるはずです。

背景

私が入社したdivxは、最先端のAIソリューションと技術力で、迅速かつ高品質な開発を実現しています。このAI活用が徹底された環境下で、私は、Laravel/Python開発などに従事してきました。

私の行動原理は、「自分より上の立場の人たちがコア業務に集中できるようサポートしたい」というチームへの強い貢献意識にあります。このチーム貢献を実現するために複数の生成AIを戦略的に使い分けた効率的な開発手法をとりました。

個人の成長(学習)の加速:AIを自律的な知識獲得に活かす

IT分野のキャリアをスタートさせた私が、短期間で開発に貢献できる知識とスキルを身につけるため、生成AIを自己学習と問題解決のハイブリッドパートナーとして活用しました。

ツールの得意分野を見極めたハイブリッド学習

コードベース全体を把握して整合性の高いコードを生成させる実装フェーズでは、プロジェクト全体を自動で読み込むClaude Codeを活用しました。一方で、特定の技術要素やコードの動作原理といった知識の定着を目的とするフェーズでは、分かりやすい説明に特化したCopilotや自社GAIエンジンを用いました。この使い分けにより、単なるコードのコピペではなく、実装の質と基礎知識の定着を両立することができました。

コピペや添付不要の環境で実装スピードが1.5倍に

Claude Codeは、従来の生成AIで必須だったソースコードのコピペやファイル添付によるコンテキスト共有作業が不要です。プロジェクト全体を自動で読み込んでくれるため、私の場合、この作業にかかっていた1日あたり1.5時間ほどの時間を完全に削減できました。この時間創出の積み重ねが、結果的に実装速度1.5倍という成果の大きな要因となりました。

開発の外側の知識を瞬時に補完

プロジェクト内の問題解決が困難な場合、私は「Claude.ai」(ブラウザ版のClaude)を活用し、より広い技術的知見を取り入れました。言語やフレームワークのバージョン違い、新しいセキュリティのベストプラクティスなど、専門外の幅広い情報を瞬時に補完することで、問題解決を加速させました。自分で何時間も調べて悩むのではなく、早期に人に聞く、あるいは生成AIに相談して理解を深めることを重視した結果です。

チーム貢献への応用:開発プロセスのボトルネックを解消

自分の成長によって創出された知識と時間を、次にチームの工数削減と品質向上に繋げました。特に、開発のボトルネックとなりがちな「レビュー工数」と「手戻り」の解消に注力しました。

AI特性の使い分けでセルフレビューを完結:レビュー工数を最大半減

私が作成したプルリクエスト(PR)のコードには、まずClaude Codeの「プロジェクト全体を読み込んで広範な視点から指摘事項を抽出できる特性」を活かして、網羅的なレビューコメントを生成させました。次に、Copilotの「コード補完や具体的な実装例の提示が得意」という特性を活かし、その指摘内容の妥当性や修正案について補助的なチェックを行うことで、「生成AIによるダブルチェック」を実現しました。

(実際に生成AIに投げたプロンプト例)

あなたは〇〇という機能のレビューをします。
レビューの観点は以下です。
[実際に使っているレビュー観点を追加]
他で〇〇というレビュー指摘が出たのですが、この指摘は本当に必要な指摘でしょうか?
実装内容・レビュー観点を踏まえて考えてください

この工程をセルフレビューとして事前に行うことで、レビュー品質を保ちながら、チームのレビュー時間を最大半減させることができ、手戻りリスクを大幅に軽減しました。

既存コードをAIに解析させ構造化:工期短縮と手戻り削減

新規開発時、私はまず生成AIに既存の関連コードを解析させ、その構造を出力させました。そして、その構造を基に

(実際に生成AIに投げたプロンプト例)

私は今から○○の機能の実装を行います。
[ここに参考にしたいコードの貼り付けまたは既存実装名]
この構造と同じで、計算処理だけを○○に変えてください

と具体的な指示を出す手法を採用しました。これにより、指示の曖昧さによる手戻りが減りました。また、既存コードを生成AIに解析させ構造化」することで、人がコードを読んで設計意図を理解する学習プロセスと工数をスキップし、直接「差分」の実装指示に持ち込めたため、当初2週間を想定していた機能を1週間で完了することができました。

AIによるPRテンプレートの瞬時生成:タスク切り替えコストを削減

ブランチ全体の内容を生成AIに分析させ、PRテンプレートを自動で作成させました。これにより、PR内容の作成時間を従来の15分から5分に短縮し、次のタスクへのスムーズな移行を実現することで、チーム全体の開発リズムの維持に貢献しました。

(実際に生成AIに投げたプロンプト例)

[ここにブランチ名記載]
このブランチで行った作業の概要をまとめてPR作成します。
以下の項目に当てはまるまとめをしてください
ブランチの全てのpushの内容を踏まえてください。
バックエンド、フロントエンドで何を実装したかを技術的変更点概要に分けて書いてください。
概要
(この変更を行うに至った経緯や解決される課題など、この変更に対する概要を記載。)
技術的変更点概要
(この変更で行った内容の技術的視線での概要を記載。また、やらなかったことがあれば明記する。)
重点的にレビューしてもらいたい箇所
(特に気になる箇所や懸念点、悩んだ点などがあれば書いてください。)
Related ticket
(対応するチケットのURLを記載。)
To Copilot
すべてのレビューを日本語でコメントしてください。

AIによる仮実装の早期提示:仕様の認識齟齬を先行解消

レイアウトが未確定な仕様でも、テキストベースの情報を生成AIに渡し、画面コンポーネントの案を出してもらいました。

実際に、複雑なデータ処理の結果を画面上に表示する際、「重要度の高い情報が多数重複し、UIの視認性を損ねる」という課題が発生していました。

この問題に対し、私はテキストチャットの生成AIに対し、以下のような指示を与えました。

高重要度のデータ表示が重複する問題に対して、『情報を一つにまとめて件数を示す』を導入した際の、理想的なUIイメージの画面の案をいくつか出してください。集約されたエリアには、件数と主要な要因を箇条書きで示す形式とします。

そして出力された案をclaude codeで実装し、「動くコンポーネント」をPMや関係者と早期に共有することで、仕様の認識齟齬という手戻りの最大原因を早期に解消することができました。

AIを「リサーチ&チームサポート役」として活用

自分のタスク外で発生するチームの緊急案件対応や、チームへの貢献範囲を拡大しました。

既存システムの構造と更新タイミングを瞬時に把握

複雑な既存システムへの緊急対応時に、生成AIにコードを読み込ませて解析させました。これにより、既存システムの仕様やDB構造といった情報を、他の実装者やPMに聞く前に自分で正確かつ迅速に得ることができたため、緊急案件への対応やテスト判断を迅速化できました。

調査用SQLを生成し、チームの知見として共有

複雑なテーブル結合を含む調査用SQLを生成AIに作成させ、調査時間を大幅に短縮しました。さらに、その生成したクエリをチームメンバーに共有することで、チーム全体の情報資産化に貢献できました。

気づき

一連の生成AI活用を通じて、最も重要な事実に気づきました。

私が驚いたのは、AIを「個人の学習」と「チーム貢献」という二軸で戦略的に使い分けることで、キャリアの段階に関わらず、自分の役割を超えた成果に直結したということです。単に自分のタスクを効率化するだけでなく、捻出した時間で、PMのタスクのサポートや、工数のかかるレビュー工程の自動化といった、チームのボトルネック解消に直接的に関わることができました。これは、AIが個人の成長を加速させ、それをすぐにチームの成果に直結させる「プロジェクトの推進役」として機能することを証明しています。

まとめ

膨大なコードや知識の壁を前に、もう時間を溶かす必要はありません。まずはその課題をAIという優秀な「パートナー」に渡し、「この問題の原因と、解決のステップを提示してください」と問いかける「小さな行動」から始めてみませんか?

あなたの学習プロセスとチーム貢献の範囲は、AIとの「協働戦略」によって、必ず広がるはずです。

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