はじめに
こんにちは!DIVXエンジニアの大原です!
生成AIが発達してきてから、気がつけばAIに話しかけることが生活の一部になってきました。
仕事・プライベート問わず、毎日のように何かを相談したり、検索したり、作業を任せたり…。
コーディングの相談・専門知識の深掘りから、今日の晩ご飯のメニューのようなちょっとした雑談まで、すべてが会話ログとして静かに積み上がっています。
AIとのやり取りには、自分では意識していなかった興味の偏り、作業のクセ、物事の判断基準などの自分の思考パターンが、会話ログに詰まっているはず。
そこで今回は、ChatGPTの会話ログをまるっと解析し、思考傾向・強み・偏りを可視化するAI版自己分析を行ってみました!
この記事を読んでわかること
本記事では、ChatGPTの会話ログを使用した分析を行った感想をまとめています。
ChatGPTを使い会話ログを自動で分析する方法、実際に分析してみた自分のログから見えた思考パターンや今後のAI活用をより良くするための改善ポイントなどを紹介します。
試したこと
今回の自己分析には、生成AIの中でも身近で多くの人が日常的に使っているChatGPT を採用しました。私自身もよく使っているので、分析するには十分なログが溜まっていそうです。
さらに、ChatGPTには会話データをエクスポートできる機能もあるため、ログを簡単に取り出して解析することができます。
1.会話ログを取得する
ChatGPT の 設定 を開く
データコントロール を選択
データをエクスポート をクリック
登録メールにダウンロードURLが届く
ZIP を展開するとファイル一式が出てくる
中にある conversations.json を分析に使用します。 このconversations.json に、これまでの会話がまとめて格納されています。
2.ChatGPTに分析プロンプトを入力
ログを用意したら、あとは ChatGPT に まるっと解析を丸投げ するだけ。
添付ファイルに先ほどダウンロードしたconversations.jsonを付けて、分析したい内容をプロンプトで指定します。
今回は、以下のプロンプトで分析してみました!
アップロードしたconversations.jsonファイルをメッセージ単位で解析してください。出力する内容はすべてアップロードしたファイルの実データだけに基づき、ファイル外から得た例やユーザーに関する憶測を混ぜないでください。python_user_visibleモードで実行してください。 1.各会話をカテゴリ別に分類し、割合を文字ベースで棒グラフ表示 2.各会話の回答形式別を分類し、割合を文字ベースで棒グラフ表示 3.会話全体から傾向・強み・偏りを洞察 4.AI活用の改善提案を出す |
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python_user_visibleモードとは、ChatGPTでPython を実行するための専用モードです。会話ログは量が膨大なため、python_user_visibleモードを使用することでChatGPTがコードベースで処理をするモードに切り替わり、安定して分析を行うのに有効です。
3.分析結果
ここからは、実際に私のChatGPTログを分析した結果を一部省略しつつ紹介します。
メッセージ件数は約2700件、思考時間は1m7sでした。
カテゴリ別の割合 その他 | ██████████████████████████████████ 75.7% (852) PC・デバイス・ネットワーク相談 | ████ 9.4% (106) 文章作成・メール文面 | ██ 5.4% (61) AI・ChatGPT活用相談 | █ 3.0% (34) 旅行・飲食店・お店探し | █ 2.3% (26) 日常生活・手続き・お金 | 1.7% (19) 買い物・製品選び | 1.2% (13) 学習・情報収集 | 1.2% (13) ゲーム・エンタメ | 0.1% (1)
回答形式別の割合 使用した回答形式ラベル コード付き解説:``` で囲まれたコードブロックを含むもの 箇条書き・リスト形式:- や ・ などのリスト記号が多いもの 手順・ステップ解説:1. / ① / 「手順」「ステップ」などが含まれるもの 段落多めの長文解説:複数段落での説明(改行多め) 通常の説明文:上記に当てはまらないシンプルな説明 短文・一言回答:ごく短い一言レベルの回答 コード付き解説 | ██████████████████████████ 53.8% (609) 箇条書き・リスト形式 | ████████ 21.6% (244) 手順・ステップ解説 | ███████ 18.3% (207) 段落多めの長文解説. | █ 5.7% (65) 通常の説明文 | 0.4% (5) 短文・一言回答 | 0.2% (2)
3.会話全体から見える傾向 ユーザーの傾向 その他(75.7%)が圧倒的に多い ・内容が多様で、短文・補足・文脈依存のメッセージが多い。 PC・デバイス関連(9.4%)が次に多い ・アプリ、ネットワーク、ゲーム環境、設定など“ライトな技術相談”が中心。 文章作成・メール文面(5.4%) ・添削やビジネス文の作成依頼が安定して存在。 AI 活用相談(3.0%) ・ChatGPT の使い方、ブログ生成など。 旅行・飲食(2.3%)・日常手続き(1.7%)など生活的な相談 ・日常的な小さな困りごとも相談対象。 アシスタントの回答傾向 コード付きの回答が最も多い(53.8%) ・技術的な処理や例示が頻繁に用いられる。 箇条書き・手順解説(約40%)が多い ・情報を整理した回答スタイルが目立つ。 長文説明は少なめ(5.7%) ・要点をまとめた構造的な返答が中心。 短文で終わる回答はほぼ無い(0.6%) ・回答は一貫して丁寧で情報量が多い。 4.このログから見える AI 活用の改善提案 5-1. 「その他」が多い → 依頼の頭に「ジャンル」を一言足すと分類精度が上がる ユーザーメッセージの約76%が「その他」になっているのは、テキストだけ見るとジャンル判断が難しい短いメッセージが多いためです。 改善案: メッセージの最初に、ひとことジャンルを付ける: 「【PC】〇〇が起動しません」 「【文章添削】この文を丁寧にしたい」 「【AI活用】ChatGPT でログ解析したい」 こうすると、AI側が最初からモードを合わせやすい 後からログを見返した時も、自分でテーマを追いやすい これは、ログの中で実際に「PC」「文章添削」「AI活用」といったパターンがそれぞれ一定数あったことからの提案です。 5-2. コード付き解説が多い → 「コードだけ」「日本語だけ」など出力指定を活用できる ログでは、回答の約54%が「コード付き解説」でした。その一方で、常にコードと説明がセットになっているケースが多い構成です。 改善案: 「コードだけほしい」「手順だけほしい」といった指定を活用する: 例: 「まずは概要だけ教えて。そのあとコードを出してほしい」 「この回答はコードだけでOK、説明は不要です」 こうすることで、すでに理解している部分の説明を省き、必要な情報だけをコンパクトに受け取る形に寄せられます。この提案は、長めのコード+長めの説明という回答形式が多く(「コード付き解説」が最大ボリューム)短文回答がほぼ無いという分布から来ています。 5-3. 箇条書き・手順解説の多さを活かして「テンプレ」を固定化する ログ全体で、箇条書き・リスト形式 ≒ 22% 手順・ステップ解説 ≒ 18%と、「構造化された答え」が約4割あります。 改善案: よく使う依頼に対しては、「フォーマット指定」を固定テンプレ化する: 例: 「いつものフォーマットでお願いします」 その「いつもの」を、最初に一度だけこう定義しておく:結論(1行)、手順(3〜5ステップ)、注意点(箇条書き)こうすると、毎回構造を説明しなくても、ログ全体でよく出ている「構造化された回答」の強みをそのまま使えます。 ※以下省略しますが、上記のように具体的な改善案を数件出してくれました。 |
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おわりに
今回のように、自分が AI とどう向き合っているかをログで振り返ると、自分のクセや思考パターンが見えてきました。
ログの可視化は、AI 活用の精度を上げるだけでなく、効率化のポイントを見つける強力な手段です。分析をうまく活用して、AI と一緒に、自分の思考とプロセスを最適化していこうと思います!